Haddon Hall 中世の貴族の館 ハドンホール
今日はハドンホールを紹介します。
ハドンホールの歴史は1086年まで遡ります。 ですが公文書に記載され始めたのは12世紀から。 最初の持ち主は征服王ウィリアムの仲間の一人に数えられるウィリアム ペヴェレル一世というノルマン人の騎士。 彼が持ち主でしたが、実際に住んでいたのはアヴェネル一家でした。
最初に建てられたのはチャペルと屋敷で1150年。 その後の1180年にはヴァーノン一族の手に渡り、婚姻によって(ドロシー ヴァーノンとサー ジョン マナーズ)現在の持ち主であるマナーズ一族に渡ったのは1567年。
建物の建造にはダービシャーの天然石が使われ、その建物はノルマン式に大きな竪壁、コートヤードと呼ばれる中庭、そしてジ イーグル若しくはペヴェレル タワーと名付けられた防御塔が造られました。
その後も増改築がなされますが、1703年にルトランド伯爵9世だったサー ジョン マナーズがアン女王によりルトランド侯爵一世の地位を授けられたのと共にハドンホールを後にし、ベルヴォア城に居住を移しました。 その後、20世紀初頭までこのハドンホールに住む者は居らず、まるで時間から取り残されたように200年もの間、ハドンホールのドアは閉められていましたが、ルトランド侯爵9世が館の修復に取り組み、ガーデンは妻である侯爵夫人が手を入れて現在の姿になりました。 その後、一族の別荘として使用されていましたが、今年になって初めてルトランド侯爵10世のご次男であるロード エドワード マナーズとレディー マナーズ夫妻が小さい二人のお子さんを連れて入居しました。
このハドンホールに家族が住むのは200年以来初めてのことです。
ハドンホールは今までに数々の本の舞台、そして映画やドラマのロケ地として使われました。 新しいところでは2011年の日系アメリカ人映画監督、フクナガ監督による米映画「ジェーンエア」、2005年の「高慢と偏見」、さらに1998年の英映画「エリザベス」等のロケ地の一部として映画の中で観る事が出来ます。
コートヤード(中庭)へ出る入り口。 つるバラに囲まれ、横にはキッチンハーブガーデンが。
ダービシャーの寒い気候に暮らすには屋内の運動も大事と作られたロング ギャラリー 長回廊。 こちらも16世紀の物。
ミントン社 ハドンホール柄のデザインのインスピレーションとなったフレスコ画のあるチャペル。 壁にはまだフレスコ画が見られますがところどころが消えてしまっている様子です。
このチャペルにはルトランド侯爵八世の息子でわずか9歳でこの世を去ったロバート チャールズ ジョン マナーズの大理石の彫像のレプリカが置かれています。 彼の死を嘆き悲しんだ母親によって作られたオリジナルはベルヴォア城に設置されています。
その姿は指先まで細かい仕事がなされ、表情には優しさが滲み、まるで安らかに休んでいるだけかの様です。
他にはバンケティング ホールやパーラー(ダイニング ルーム)等の美しい部屋の数々、そしてガーデンを有料で一般公開しています。
数百年の時代を生き延びてきたタペストリーが館のあちこちに。
フォーマルガーデンから見える館。
そしてハドンホールのすぐ下をワイ川(river Wye)が流れます。
悠久の歴史を刻むハドンホール。 イギリスを訪れるなら是非ベイクウェル近郊まで足を延ばして欲しいと思う理由の一つです。